遠山記念館で行われた
久住章さんによる遠山邸の左官についての講演会に行ってきました。
久住さんといえば、カリスマ左官屋さんとして有名ですね。。
若い頃、いいと聞けば、
日本中どこへでも、行って門徒をたたき、左官を教えていただいたと
おっしゃっていました。
東北のほうに行ったとき、
29歳のとき、遠山記念館のトイレの赤い壁をすすめられ、
見に行ったそうです。
そのとき、休館中だったのにもかかわらず、みせていただいてからの縁だと
おっしゃっられていました。
本職の左官でも1回2回みただけではわからない
3回目にしてわかるようになってきたとおっしゃっていました。
そのトイレの赤い壁を塗られたのは、
東京の左官屋さんで、
久住さんが29歳とのときはまだ生きていらしたそうで、
その壁を塗られた、最後の仕上げの鏝は、
今の金額で鏝一本100万円もしたそうです。
すごいですね。
ちなみに数寄屋の左官をするには、鏝、300は必要とおっしゃられていました。
その後、玄関、2階、茶室をまわり、
各部屋ごとの壁についてお話をしてくださりました。
写真は外部の壁、蛍壁です。
茶室の壁は侘びた雰囲気になるよう荒壁をくさらせ、あくをださせて、
黒っぽく変化するようにすることがあるそうなのですが、
その中に鉄粉をいれることによって、鉄粉まわりはあくがでない性質を利用して、
時間と共に蛍のような文様がでるように
つくられたそうです。
大阪には、これを応用した蝶の壁というのもあるそうです。
荒壁を腐らせるのは、住宅など普通の仕上げではやらないそうですが、
防水性を増すという効果もあるとおっしゃられていました。
その後、
茶室の墨差天王寺という壁について実験を通して説明をしてくださりました。
墨差し天王寺と書いてありましたが
天王寺という土はこんな色をしていないと思って文献を調べたところ
川上さんの書かれた本に載っていたそうです。
でもカネコさんという方が天王寺には黄色い土しかないと思って焼いてみたところ
赤くなったというお話があったそうで、
昨日は皆の前で黄色い土を焼いて赤くしてみせてくださりました。
焼きすぎては左官ではつかえなくなる。
そんなお話もしてくださりました。
その天王寺という土が早く侘びた雰囲気がでるように
墨を差したのでそんな名称になったのだろうとおっしゃられていました。
漆喰に墨を差した場合、経年変化で薄くなるので
土も変わるのですか?と聞いてみましたら、
土はならないんだよとおっしゃられていました。
面白いですね。
ちなみに天王寺という土は
桂離宮の補修で
使用されたそうです。
丸い窓がつながる茶室。。名前は忘れてしまったのですが
桂離宮に見学に行くと拝見することが可能です。
写真1枚目 蛍壁
写真2枚目 トイレの赤い壁
写真3枚目 茶室の入り口の仕上げ  久住さんが難しいと若い左官屋さんに説明をされていた。
                  はっかけで 2分くらいの面があって、ふくらみをもたせている。