●お庭の歴史

ずっと前に、upしようと思って書いていた記事をみつけました。
長文で、庭の歴史についてですが興味のある方は、ぜひ。
ガーデニングデザイナーの須永先生のお話をお聞きしたときのお話です。
・・・庭というものを建物、住まう人がいてはじめて成り立つととらえると、
庶民に、庭というものがうまれたのは、大正、明治のころなんだそうです。
それまでは、江戸時代などは、借家暮らしが主だったため、個人の庭。。というものは
上流社会のものだったそうです。
(お寺や貴族のための庭などは、あったそうです。また下級武士の方でも個人庭を持っている方がいらして、
 その庭の復元をするとき、何をつくるのかといえば、畑をつくったりするそうです。。おもしろいですね。)
洋風の庭というものも、上流社会からとりいれられ、
広い敷地の中に、洋館と和館が共に建てられると、その中に、洋風の庭というものがはじまったそうです。
洋風の庭のとらえられ方としては、
・洋館の前に広がる芝生
・芝生の中に点在する低木
・白い砂を敷いた園路で描かれた円形や楕円形の地模様
・整然とした樹形のコノテガシワやドウダンツツジ、花としてのぼたん、
・主がヨーロッパに永く行っていたという背景をもってつくられた
というようなことが書物に残っているようです。
その洋風の庭が庶民に広がったのは、
戦後、サラリーマンが増え、中間層が増えたこと、
持ち家という文化がはじまったこと、
お客様より家族を大切にするという考え方が広がったことによるそうです。
その時代、庭というものは建築と一緒に建築家によって考えられ、
庭は在来の鑑賞本位に偏せず実用に重きを置くことと
され、
・庭園は建物まわりの空地として、採光、通風、防火、排水空気等の浄化等の機能をもつ
・使い勝手をよくする。
・屋外の居室として利用する。
・野菜や草花、果樹の栽培や家畜の飼育など趣味と実益と衛生上の効果を
考えて経済的な利用をはかる。
・前庭の一部は街路からも見られるようにし街路の装飾として美観を高めるようにする。
・植栽は眺めるだけでなく、落葉樹を植え緑陰をつくる
。。。などなど、詳細が書かれているそうです。
その後白い箱の時代に実用的な庭という概念が
建築から排除され、例えば、白い箱の建築の前に芝だけが植えられるような。。
白い箱の建物って、生活感があわなくて、
また言い方を替えれば、
なんにでもあうし、何にもあわないということばが印象的でした。
今のシンプルモダンというのも、これに近く
デザイン重視で生活感がないようにかんじる。。と。
庭というもののとらえ方は人それぞれですが、
生活のための庭というもの大切ですね。
吉村順三さんという建築家が好きなんですが、
図面をみるとちょうどよい場所に、
物干しがあったり、
家と住まいはどちらも生活というものに関わっていて、
一緒に、考えていくこと大切なのでしょうね。

●ちょうどよい関係

植木屋さんにお話をお聞きしました。
新たに植え替えしたときに、
根、幹に麻をまき、
竹で支柱をたて、
ドーナツ状の水鉢をつくります。
麻の布は保温、保水などのため、
植え替え時に、体力のない木をサポートするためで、
自然のものなので、時間とともになくなってしまうものなのだそうです。
そして、この竹の支柱は、2,3年もすると枯れてしまうそうです。。
その頃には、木自身がしっかり根付くので必要がなくなるそうです。
支柱がなくても、自立していますよという合図らしいでのです。
またこのドーナツ状の水鉢も、
水をあげていくうちに、平らになっていきます。
その頃には、たくさん水をあげなくても、
木、自身の力で水をすうことができるようになっていくそうです。
竹も、水鉢も 植え付け後の木のサポート、
自身で生きていくためのほんのちょっとの間のお手伝いの役割をするものなのですね。
必要なときに必要なだけサポートする。
やりすぎないこと。
巣立っていく子供を見守るような、
ちょうどいい植木屋さんと木との関係ですね

●実生

材となった木をあつかう方からお聞きする、実生の木って、
目が細かいよい材という印象がある。
植木やさんからも実生という言葉がでてきた。
通常、モッコクという木は強くて
移植にも耐えられる木ときいてたけれど、
その木は実生だった。
スコップを外にむけえて、木の根をほりかえしている中、
実生だねという言葉をもらされた。
実生の木は根をまっすぐ下にのばす性質をもっているらしく、
掘り返していても、横にひろがる細かい根というものがでてこないそう。
まっすぐ下にのびて、細かい細い根がないということは
移植したときに、根付くための根がないとうことで、
むずかしいそう。
幸いその木は深植されていたために
呼吸ができず、根ぐされを起こしていて、
主根が腐り、細かい根がでていたために、
すぐに植えつけて、上部分を根にあわせて裸にしてあげれば、
大丈夫そうだということ。
よかった。
この木にとって主根が腐ったことが生きながらえる原因になったことが
人生みたいでなんだかふしぎ。
こう書くと実生というのは大変そうだけれども、
樹齢1000年という木はすべて実生の木だそうです。
一度根を切るというのは寿命を縮めることになるので、
実生でしかありえないそうなのです。
※写真はシャラ

●常緑樹のせんてい

常緑樹のせんていの時期についてお話をお聞きしました。
根に栄養がつまっていて、うごきだしていて、
上モノは動いていない、今頃がよいようです。
常緑樹の外側の葉は、
外に向いているだけあって、
内部の葉より、厚く、丈夫で、
秋口に剪定してしまうと、
やわらかい内部の葉は外の寒さにたえられず、
暑い季節に剪定してしまうと、
暑さや、光の強さに耐えられないそうなのです。
葉っぱは、今頃から、三ヶ月間くらいかけて成長していく。。
つまり根にたくわえていた養分がなくなったころ、
葉をとってしまうと、
厳しい環境になってしまう。。
そんなお話でした。
落葉樹なら、葉が落ちてから、
針葉樹であれば、やにがでてしまうので、少しはやめの1,2月がよいそうです。
常緑樹の葉は
必要があるからついている。
自然って、必要なバランスからできている。
そんな生き物のことを知って、かんじて、
つきあうことが
大切なのでしょうね。
人間も自然の中の一部。
意識していなくても、大切なことがあるかもしれません。
さくらの花、咲きはじめましたね。
さくらって、切り口に水が入ってしまうと枯れやすいそうです。

●移植の難しい木

先日、植木屋さんと
お話をしたときのことです。
移植予定の木の中で、
杏がちょっと不安という言葉をお聞きして、
以前、柿の移植も大変だったので、
お聞きしたら、
柿は特に大変で、
実のなる木。。杏もむずかしいほうにはいるそうです。
他の移植のむずかしい木は?
という質問に、
ハクモクレン、ヒモクレン、タイサンボク、シャクナゲなどをあげられていました。
理由は、根がごぼうみたいな形状だからとおしゃっていました。
(細かく分かれている根とごぼうのような根がありますよね。。ごぼうのほうが切ってしまうと
 むずかしいのは想像できますよね!)
また、東京の落葉樹は落ちなくなったり、
紅葉の葉がきれいな赤にならなくなったり、
ここ数年、温暖化の影響が、庭木の世界で
顕著なようです。
あたたかいことに慣れてきてしまって
気候が変わってきていることに
対して鈍感にならないうちに、
できることをしていきたいですね。

●露地の作法

露地の作法
についてお話をお聞きしました。
日本のお庭にはおおまかに
池庭。
枯山水。
そして露地というものがあるそうです。
池庭や枯山水は大きな自然を目指していて、
お茶という文化ができてきたときに、
自然の中にあっても露地は、山の中にはいっていくそんなイメージで
つくられていったそうです。
例えば、池庭、枯山水には落ち葉が掃き清められている。
茶室に向かうときにある敷き松葉は自然にみえるように、
客人の来る前の数時間前に掃くんだそう。
松は赤松なんですね。
その松葉も時代によって考え方によって、
ないものをもってきたりもしたそうですね。
なんだかおもしろい。
お話を聞いてかんじたものは、
基本にあるのはおもてなしのこころなんだろうか。
住まいにそういう部分って少なくなってしまったけれど、
人が気持ちよくすごすという意味で生かせることがありそうです。

●竹垣のお話

造園の先生から、竹垣のお話をお聞きした。
ちょっと前、左官の榎本さんに竹の切り旬のお話を聞いたばかりで
おんなじお話がでてびっくりした。
竹を切る時期は11月から3月初旬頃。
その中でもいいのは、1月、2月
(榎本さんも、節分までとおしゃっていた!)
植物は正直だから寒くなると、水分をぴたっととめる。
この時期に切った竹でつくった垣は、長持ちするっておしゃっていた。
(建仁寺竹で12、13年、良いときは15年ほど。)
反対に春から夏にかけてとった竹は蒸れたり、虫がはいったりして腐りやすく、色の変化が悪いのだとか。
冬に切った竹で竹垣をつくるとやわらかい光のもとゆっくりと
経年変化をしていく。天日干ししているみたいに。。
ゆっくりと経年変化をすることで、
あめいろのいい色の竹垣ができる。そうおしゃっていた。
想像するだけで、すごくきれい。
日本人らしい竹の使い方のお話もしてくださった。
竹垣の竹って竹の葉や枝をとったもので。
その葉や枝もすててしまうのではなく、
たばにしてのこして、葉が枯れるのを待ち、
先っぽのやわらかい部分で
竹箒をつくる。
その竹箒は、砂の模様がある庭などに落ちた葉をはいたりして使い
(そのやわらかい穂だと砂を残して葉だけはけるんだそうです。)
硬くなると、こけの上を掃き、もっと硬くなると、敷石の上を掃く。
そしてもっと硬くなると赤松の手入れをするときにつかい、
そして最後は火種としてつかう。
無駄にしないんですよとおっしゃっていた。
また
鉄筋コンクリートの垣だと毎日みていると痛い、
竹などの自然のものだと何も思わない。
常に平常心でいられるとも。。
以前、本当にいいなぁと思う空間は空気みたいなもの
とおしゃっていたかたがいて。
そうかもしれないなぁと
思いました。
空気みたいにあたりまえのようにあって。
意識しないけど大切なもの。。
つくれたらいいなぁ。

●こけ玉

川口さんのお庭のワークショップの時、
こけ玉もつくらせていただきました。
こけ玉って、
盆栽の根洗いからきているそうです
鉢の中にいるうちに
根が密集して、
植木鉢がらスポッとだしても、カタチを
保持している。
その状態をこけ玉にして入れ物に入れて飾るそうです。
こけ玉は、
すぽっと抜いた状態を
はさみで
それを丸くきって、形を整え、
コケをまき、木綿の糸で縛ってつくっていきました。
(木綿の糸の理由は、風化してなくなる!からだそうです。)
こけ玉って、
雑草の美しさに出会える
そんな方法だよと
おっしゃっていました。
緑に親しむには、
まずは名を覚えること
そうすることで、今まで気づかなかった
緑に気づくようになる。
そしてそのまた廻りの環境に気づけるようになる。
ともおしゃっていました。
私のこけ玉は二つ。
名月草、
数珠さんご、
庭藤というものからつくりました。
土をいじるのって楽しい。
植物をいじるのって楽しい。
体も心地よくつかれて眠くなりました。
講義、ワークショップを通して
大切なことを学んだと思います。
ありがとうございました。
また、とびとびで長くなりましたが、
読んでくださり、ありがとうございました

●お庭のワークショップ2

お庭のワークショップのつづきです。
・次に石を並べていきます。
石をならべるこつですが、ぽんと置くのではなく、下から持ち上げるように置いていくと雰囲気がでます。
作為がでても変だし、むずかしくも、おもしろい作業でした。
・植物を植えていきます。
 下のほうが好きな植物。
 岩と岩の間が好きな植物。
 日当たりが好きな植物。
 植物の性質を川口さんが説明してくださり、それにあわせてうえていきます。
 このときのこつですが、植木鉢に植え替えるときは、
 元の土がでるように植えますが、ロックガーデンの時はかぶるように植えていくそうです。
本来なら、花が終わったあとの冬眠期に植えるのがよいそうですが
今回のように時期が違うときは、
根のまわりの土をのこし、肩と底の土を落とし、ルートの底の根を切った状態で植えていきます。
その植物の冬眠期ですが、
彼岸花のように、夏に眠る花もあるそうです。おもしろいですね。
そしてお水をたっぷりあげました。
水はホースに指をそえて、量を調整するのが造園家のやりかただそうです!
自由自在ですね。
この後、半年〜1年くらいは面倒をみます。
でも、その後は、そんなに面倒をみないようにするそうです。
植物ってバカではないので、
水がないならないなりの葉のだしかたをし、
環境にあうように、なっていくそうなんです。
すごいですね。
川口さんのお話を聞いていて、
植物に寄り添って、
考えているんだなぁって思いました。

●お庭のワークショップ1

先日紹介させていただいた
川口さんによる、
ワークショップがありました。
参加させていただいたときのこと
UPしたいと思います。
ワークショップでは、
スクリューガーデンというものをつくりました。
山と山の間の谷の部分。
水が流れ、風などの環境が良い部分に
お花畑ができる。
それをイメージして、
一段低い部分につくるガーデンです。
ロックガーデンの低い盤です。
まずはつくりかたです。
つくっていく過程でまた大切なことを学んだと思います。
・地面より低い位置に穴を掘って、転圧。砂利をいれる。・・ここまでは川口さんのほうで用意してくださりました。
 深さは最低20cm必要とのことです。
・砂利をまぜる。
 軽石、小粒、中粒、三分砂利、火山石などをまぜていきます。
 植木鉢の土などもいっしょですが、なるべく多くの種類があればよいそうです。
 また均一にする必要もないそうです。
理由は、植物、ひとつひとつによって、好ましい環境は違うので、多種多様に対応できるよう
いろいろな環境があればよい!とのこと。
納得ですね。
また軽石などは、空気があり暖かいので、種などが落ち、生えてきたときの幼芽を守ってくれるそうです。
次回は石を並べるところです。