掛川城
竹の丸(洋間 100年経ったもの)
竹の丸(洋間 100年経ったもの)

写真上から
ヨモギ染めの葛布入り左官壁

葛布ののれん

120年経ったもの
工房
40年経った壁

葛布

2016.1030
掛川にある小崎葛布工芸さんを訪れました。
写真1枚目は新しい葛布です。
2枚目は120年程経ったもの
3枚目は新しいものと40年経ったものを比べたもの
新しものは、繊細な光が綺麗ですね。
時を経たものも
いい色になっていました。
掛川の葛布の歴史は1000年ほどもあり、
沖縄の芭蕉布、東北の科布と共に
日本の三大原布のひとつといわれているそうです。
(大井川葛布は掛川での生産が間に合わない時に下請けとしてつくっていただいてから
 つづいているそうです・・掛川の葛布よりざっくりとした雰囲気にかんじました。)
葛の伐採は、高齢の職人さんが行っていて
野山をかけまわり
伐採したものを
釜で煮て
糸として拠ったものを
手織りで布をつくられているそうです。
(次のページに工房の写真をのせています)
葛布は丈夫で
袴をつくったり傘の材となったりしていたそうです。
ちょうど草木染め(よもぎと茜だったと思います)
の布を織っているセットがしてありました。
葛布でできたカーテンは
外国で人気で
最近は日本の若い人からの注文も多いとおっしゃられていました。
(葛は紫外線に弱いため、西日の強いところには麻のカーテンをすすめて
 いらっしゃるそうです)
襖紙等は
和紙を裏打ちして
貼れるようにしているそうです。
緑の壁は
左官材料にヨモギ染めの葛布をいれたものだとか!!
面白いですね。
突然、お伺いしたのに
とっても親切に説明をしてくださり
工房や実際につかわれている建物をみせてくださり
感謝です。
初期費用は、
とりのこよりかかりますが
何十年も張り替えをしなくて
いいということを
考えると長い目でみれば
そう高くないのかなぁと思います。
何よりも経年変化した色が
変化していく過程が素敵ですね。
ありがとうございました。

和紙貼り
お施主さん親子と一緒に、
和紙貼りを行いました。
この日は納戸の下貼りです。
下の①、②の工程を途中まで行いました。
①枠等の見切り部分に6cm巾程の和紙をべた貼りではります。
②1/4にカットした和紙の周辺に糊をつけて、中貼りを袋貼りしていきます。
③仕上げの和紙を貼ります。
使用したのは、アミノールをいう糊(食品添加物程度の防腐剤ははいっています。)です。
大活躍したのがお母様です。
小さい頃から、障子貼りの経験が豊富なお母様のおっしゃってくださったことは
的確でした。
和紙を貼るときは
はじめに霧吹きでたっぷり(がよいようで)刷毛で塗れるくらいにゆるくした糊を
塗っていきます。
最後に霧吹きをかけることで、乾くとしわがなくなるとのこと。
勉強になりました!
和紙貼りをしてかんじたことは、
家というものは少し前までは
住まい手も参加してつくって、
手入れをしてきたものなんだということ。
そして、
その作業を通して家族の関係もつくられてきたんだなぁと
かんじました。
親から子へ。
尊敬の気持ちも
そして、
笑顔も生まれる大切な時間だったんじゃないかなと思います。

職人さんの手によって漉かれた和紙は、
鉄板や天日で干していきます。
お湯を循環させた鉄板に
1枚1枚貼り付け、乾かしていきます。
ここでは風は厳禁なので外から見学をさせていただきました。
濡れているやわらかいものをしわなく貼る大変ですね。
失敗したものはもう一度漉いて和紙になるとおっしゃていました。
天日干しは松の板に干されます。
写真はその板。
その和紙は木目がしっかりとつき、日光によって白くなります。
着物をつつむときにつかわれるそうですが、
空気を含むことで布を守るそうです。
写真3枚目は柿渋を塗った和紙につかわれる布。
柿渋を漉すときにつかっているものだそうです。
道具の美ですね。
住まいをつくるとき、
どんな人がどんな思いをこめて、
つくられているかを知る
大切なことだと思っています。

塵をとりおわった楮は杵のようなもので
細かくちぎられ、
トロロアオイを加えて
漉いていきます。
このトロロアオイを加えることで、
漉いた和紙を重ねても、はがれるようになります。
この紙漉き、職人さんは簡単に漉いているように見えますが
体験等をしてみるとなかなか平らにきれいにはできないものです。
しかもこの大きさ!
和紙の厚さは用途に応じて、いろいろな種類があって、
経験と、この桶にいれた楮の量で確認していくそうです。
すごいですね。

和紙に使用するのは、
前のページにのせた皮の部分ではなく、
皮をむいた白い部分になります。
この皮をむく作業は手間がかかり
その上、日当1000円〜2000円くらいにしかならないそうです。
故に、生活が成り立たたなく、
国産の楮をつかった和紙は貴重なものとなっているようです。
楮の違いです。
写真真ん中は国産の楮を
コンニャクをつくるときに使用するソーダ灰で煮たもの
のちりをとっているところです。
井戸水のなかから、
1本1本、取り出し、
ちりをとっていくのです。
大変な作業だと思うのですが、作業をする手が
美しいと思いました。
ものづくりをする方の手って言葉がありますよね。
写真3枚目はタイの楮。
日本と木じたいの性質が違うこと、
強い薬品を使用していること、塩素漂白をしていることで
同じ植物には見えないですね。
色と油脂がぬけないことで、紙質に影響があってやっかいだというお話をお聞きしました。
国産の楮は甘い匂い
タイの楮はプールの匂いがしました。
つづきます。

ミドリノオト 現場日記より 
小川町にある久保昌太郎和紙工房さんに
壁に貼る和紙を買いに行きました。
まずは、工房で和紙ができる工程を教えていただきます。
写真1枚目は楮の木。
青空が気持ちのようですね。
楮の収穫は1月や2月に行われるそうです。
それは、植物が休眠する季節であること、
農作業と兼業で紙漉きをするために
農業との関係でもあったそうです。
人と自然の呼吸があっていてたんだなぁと思います。
素敵ですね。
ここだけでは間に合わないので、
四国や、タイ等から仕入れをしているそうです。
刈入れした楮は、皮をむいていきます。
この作業が大変なのです。(つづきます。)

●和紙いろいろ

紙すきの村 久保昌太郎和紙工房さんで行われた和紙と建具の座談会に参加させていただきました。
和室というものが少なくなったりして、
建築に使われる機会が少なくなった今、どんな可能性があるのか。
小川町という和紙の町として、伝えていくには。。
そんなことが話題にでました。
写真1枚目は着せ替えできる和紙として建築家さんと建具屋さんとのコラボによってつくられたという衝立です。
和紙がパネルになって差し替えでき、季節や場所にあわせて表情を買えられるというもの。
衝立を2枚重ねているので、裏の光が重ねの色あいがでて、きれいでした。
写真2枚目は、本物の落ち葉が、薄い和紙と和紙の間にいれられた障子です。
伝統的な高い技術がなくてはできないものだそうです。
携帯の写真では上手に撮れなかったのですが
手漉きの和紙は、はじめ、生なりの色をしていて、
時間と共に、白く美しくなっていくそうです。
そして、これこそ写真で撮るのはむずかしいのですが、
白い何も装飾のない和紙や
天日で板の上で乾かすために、板の木目が移った和紙、
本当にきれいでした。
町のいろいろなところに和紙が見られるお店等の地図や、
和紙貼りのワークショップをして、身近にかんじてほしい
そんな話題もでました。
和紙やさんや建具やさんのいいものをつくりたい
わかってほしいという熱い思いをかんじて、
さわやかな気もちになりました。
ありがとうございます。
実際にいろいろな和紙を見させていただいて、
和紙ってすごく光と仲のよい素材だと思いました。
その中でも、手漉きのものってなんともいえない
光の変化が、瞬時にも、長い時間の間にもある
そんなやわらかい空気、
和紙でなくてはだせないよなぁ。
今はまだ身近にある素材、なくしてしまったらもったいないですね。
久保和紙さんのHPです。
無添加の和紙だったり
こだわりをかんじられます。
http://homepage2.nifty.com/ogawa_washi/