●鬼瓦-型を抜く

へら抜いた瓦

瓦を組み合わせるために粘土をあらします。

富岡鬼瓦工房さんのレポのつづきです。
次に、粘土を切り抜きます。
粘土は、型抜きのものより固いものを使用します。
富岡さは自由自在に、型をぬいてしまいましたが、
流れるような曲線を切り抜くのはむずかしいのでは!と
思いました。
手づくりの場合は、機械づくり(重に愛知、三州のもの)とちがい、
細かい目の土があうそうです。
粘土の厚さは、6分が標準だそうです。
厚いと割れやすいため、
鬼瓦は大体これを組み合わせてつくるそうです。
立体になるなんてすごいですね。
なので一体にみえる鬼瓦をつくるためには、
粘土を組み合わせる必要があるそうです。
写真2枚目は組み合わせるために、
粘土の目をあらしているところです。
この道具、富岡さんのオリジナル!と思っていたら、
大昔の人も同じことを考えたようで、
資料館に保存されていてびっくりされたそうです。
なんだかすごいお話ですね。
ヘラなどの道具、
すべて、手づくりなそうです。
削ったり、たたいたり。。
つかっていくうちにつかいやすくなるのだとか!!すごいですね。

●鬼瓦 

鬼瓦の図面を写しているところ

富岡鬼瓦工房さんに
行ってきました。
関東では、手づくりの鬼瓦をつくっていらしゃるところは、
数少ないとお聞きしました。
まずは、製作過程です。
まずは粘土に、下絵を写します。
左右対称のものは、下絵は半分だけあって、
これを反転してつかうそうです。
それにより正確さをだします。
確かに言われてみれば!!そうですね。
紙は和紙でできています。
富岡鬼瓦工房さんのある小川は和紙で有名なところなので、
小川さんのものですか?
と聞ききしたら、小川の和紙は丈夫すぎて、
向かないそうです。
適材適所なのですね。
それにしても、
文様の美しいこと。
これだけでも、飾っておきたい。
そう思ってしまうような美しさですね。

●瓦でまちおこし

瓦でまちおこし
(浅草伝法通り)
瓦展では、瓦をつかった町おこしの写真も飾られていました。
会場である浅草公会堂の裏通り、
伝法通りには、
1階屋根の表部分に瓦の庇が様々な表情をもって、つけられています。
瓦の積み方もいろいろ。
その瓦は、浅草のお寺の修理したときに、
でてきた瓦たちをつかってつくったものです。
瓦と瓦の間に、くだいた瓦を埋めたり、
のし瓦の間隔を広い積み方をしたり、
逆向きデザインしたりと
1つ、1つのお店、すこしづつちがうんです。
おもしろいですね。
写真をとっているとお店の方が声をかけてくださいました。
おもしろいでしょう。
みなで、町おこししてやったんだと
うれしそうにお話をされていました。
浅草ならではの、取組み。いいですね。

●古い瓦の美しさ

古い瓦ってきれいだなって
思います。
写真のものは、
すてられそうになった
瓦たちなんだそうです。
波であったり、雲であったり。
どうやってつくっているのか、
お聞きしたら。
ほったり、くっつけたり、
なでたり!
その言葉のやさしさに、
大切なもの。
だということが伝わってきました。
人と自然とつくるもの
一緒だったのでしょうね。

●瓦と灯り

古代瓦に苔の結晶。教えていただくまで気づきませんでしたが、きれいでした。

瓦展では現代美術風の瓦の作品もありました。
その中のひとつです。
瓦でつくった照明。
現代の瓦で、瓦の文字をつくったもの。
そして、古代瓦でいぬのカタチで照明をつくられたもの。
おもしろい発想ですね。
そしてまた、灯りの基が
油だった時代、瓦灯として、
照明器具が存在していたことを
思い出しました。
この古代瓦の照明。
犬の絵などの装飾をなしにして、
みるものもまたきれいです。
(写真はあえて、ナシにした状態をのせさせていtだきました。)
古代瓦は現代のメーカーさんの瓦とちがい、
呼吸しているので、生物と共存できます。
苔が乾燥して、花のように、
ついているようすが、
内部の和紙を通した柔らかい光で
とてもきれいにみえました。

●風がとおる 素焼きのいろ

風が通る

肌合いがやわらかいですね。どんな経年変化をするのかみてみたいですね。

瓦展では現代美術風の瓦の作品もありました。
その中でおもしろいものをいくつか紹介したいと思います。
風が通る。
という題名の作品です。
いぶしかわらというのは、瓦を焼く最後の時に、
酸欠状態にして、(炭素をまわす??すみません。もっと勉強しなければ。
説明できる方いらしたら、教えてくださいね。)
防水性をつけたもの。
この瓦は、いぶさないままの生地でできています。
(なので防水性はないようです)
土っぽい。やわらかい肌合いが素敵ですね。
その瓦に、傷をつけ、模様をかいたもので
塔をつくられたそうです。
こうやってみていると、
瓦って、屋根だけではない、
新しい使いかたもできるのではないか?
と思ってきました。
この作品をつくられた方は、
仙台考勝寺の五重塔などを葺かれた方なんですよ!

●怒っている?笑っている?

富岡さんのつくられた鬼瓦

鬼瓦は笑っている?怒っている?
鬼瓦をみていると、
急に疑問がわきました。
怒っているのか?
笑っているのか?
鬼瓦ってこわい顔をしているけど、
みているとなんだかあたたかい
そんな表情にみえるのです。
写真は、鬼瓦たち。
一番上のが本職の鬼師さんでもある富岡さんがつくられたもの。
他のものは、葺く方だったり瓦にかかわっている方が
挑戦してつくられたものだそうです。
(すごい!)
瓦師さんにお聞きしたところ、
鬼はにらんでいるのが正解だそうです。
おもしろいですね。

●鬼瓦のひみつ

浅草のお寺にのっていたもの

鬼瓦の秘密。
鬼に雄と雌がいること、
知っていますか?
瓦展で、瓦屋さんたちに、お話を聞くことができました。
口を閉じているのが雄。
口を開いているのが雌。
なんですって。
沖縄のシーサーとおなじように、
雄と雌で、一組になっているそうです。
そしてもっと詳しくいうと、
鬼門によって、
方向がきめられていて、
南北だったら南が陽、北が陰
東西だったら西が陽、東が陰
雄が陽、雌が陰になっているそうです。
おもしろいですね。
写真のものは、雄です。
歯を閉じているからとのこと。
※雄、雌は室町時代から、それ以前は、男女の区別はなく、
 つのもなかったそうです。

●敷瓦(瓦展より 窯変)

黒と白の境目に虹色がほどこされている 炎のカタチ

30000枚に10枚の割合でできる窯変した瓦

昨日、浅草公会堂で行われている瓦展に行ってまいりました。
写真は、達磨釜で焼いた五十嵐さんの敷き瓦。
達磨釜は、今でも、薪をつかい、松煙でいぶしています。
(現在、焼き続けられている達磨釜は、日本で3基、そのうち2基を五十嵐さんが
所有されています。達磨釜で焼かれた瓦は呼吸しています。)
だからこそ、
こんな炎のカタチが、
瓦にうつることがあるそうです。
人間が意図してもつくることのできない、
炎のカタチ。
今でもなお、火で焼くということに
こだわっているからこそできる色合いですね。
炎のカタチ、黒と白と、境界には虹色がほどこされていました。
この美しい色、写真ではうまくとれませんでしたけど、
雰囲気は伝わるでしょうか。。